テンションバランス
あなたは「なぜ、008のセットも009のセットもメーカーを問わず、たいてい2弦が同じ011なのか?」という疑問を持ったことがありませんか? この点についてDr.Siegel (成毛 滋 氏)が Music Gear では、この成果に賛同し許可を得て紹介します。 |
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まず、代理店を通して各メーカーに「何故2弦が同じなのか?」と問い合わせてみたところ、どこも「昔からなんとなくそうしているから」というような返事で、特にバランスの事は考えていないようなので実験してみました。
| 例 009 ~ 046のセット
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まず、ダダリオがロングスケールの場合の各弦のテンション(kg)を表示しているのでこれを参考にしながら色々試してみたところ、どのセットもテンションのバランスはあまり良くありません。 左の例を見てください、テンションはバラバラです。(製造年度によってテンションは多少異なります。) これを普通のシンクロナイズドトレモロで使うとアームを使った後にピッチはすぐに狂ってしまうし、半音下げにした場合、より狂いが大きく、チューニングはメチャクチャになってしまいます。 |
| 次に、セットを無視して1弦から6弦までのテンションがなるべく同じに近くなるような組み合わせを色々試してみました。 たとえば右の組み合わせにするとテンションのバラツキはずっと小さくなります。 そうするとアームを使った後のピッチの狂いも小さくなり、半音下げにしてもあまり変わりません。 全く狂わないわけではありませんがチューニングがメチャクチャになるという程ではなく、あまりアームを派手に使わなければロックシステムの無い普通のシンクロナイズドトレモロでも実用上問題ない程度です。 |
例)
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1弦から6弦までのテンションがなるべく同じに近くなるような組み合わせにし、弦のテンションのバランスをとることによってアームを使った後のピッチの狂いは小さくすることが出来ました。
ところが、これだけでは問題が残ります。
この組み合わせはかなり弾きにくいという問題です。
| ・弾き易さの面からは1,2弦のテンションがやや弱い方がいいようです。 ・サウンドのバランスを考えると、008~038のセットは5~6弦と1弦の音が線が細く、低音弦をミュートして弾く時や、1弦ハイポジションをベンドした時の音が右の例のようにイマイチ頼りない感じです。 |
例)
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それなら008と009の中間の弦があればいいのではということになりますが、その当時は0085という弦は無かったので、テンションを計算してみると
| 008は4.86 (kg) 009は6.16 (kg) |
なので0085は中間の5.51kgという事になります。 |
| そしてこれとテンションのバランスがとれて、かつ弾きやすい組み合わせはできないか色々試してみた結果、右の組み合わせが一番良いのではという事になりました。 そこで南洋貿易にこういう弦を作ってくれる所があるかきいてもらったところ、アメリカのS.I.T.が作ってくれる事になりました。 S.I.T.というのは"Stay In Tune"の頭文字で「チューニングが狂わない」という意味です。 アームを使った後にチューニングが狂うのには主に3つの原因があり、ペグの所、ブリッジの所、弦自体の3つですが、S.I.T.は前ページに書いたとおり弦の巻き方の特許を持っていて、3 番目の「弦自体によるチューニングの狂い」はほとんど無い事からこの名前をつけています。 |
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ですからこれでテンションのバランスが良くなればもっとチューニングは狂わなくなるはずです。 という事で、テンション、サウンド、弾き易さのバランスから考えてこういうセットを作ったわけですが、1 弦はあくまで計算で考えただけなので果たしてその通りになるか現物を見るまで不安でしたけども、実際出来てきた弦は思ったよりも弾きやすく、チューニングの狂いも少ないし、音も太く、わずか0.0005の違いは予想以上に大きく、しかも0085のテンションはビッタシ5.51kgでした。 |
| Dr.Siegel's Custom Gauge はロックシステムやエンドロックスの無い普通のシンクロナイズドトレモロでも、ペグの所で弦をロックする張り方をすればアームを派手に使ってもチューニングは殆ど狂いませんし、弦をベンドした後にピッチが狂っても、一度アームを下げればすぐに戻ります。 そこで、パッケージの裏に弦をロックする張り方を図に描いて載せる事にしました。 |
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そしてKelly Simonz にも試してもらったところ「これはスバラシイ!」と言って自分のレコーディングにこの弦を使ってくれる事になりました。
Kelly Simonz も、僕が今まで既製の弦に感じていたのと同じ不満を持っていたようです。
また、S.I.T.の弦は寿命が長い事でも知られていて、弦の材質が良いのとボールエンドの所の巻き方が違うため、セコイ弦の倍は持ちます。
ですから高いように見えるかもしれませんが、その分長持ちしますから安い弦を何度も張り替えるよりも手間が少なくて済むし、むしろ安上がりです。
「フロイドローズ等のロックシステムを付けると音色が変わってしまうから嫌だ」という方、「シンクロナイズドトレモロをそのまま使いたい」という方は一度試してみて下さい。
1セット単位での注文1箱(10セット)単位での注文
成毛 滋 氏 2007年3月29日、大腸がんによりお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたします。
